テキストサイズ

ぜんぶ二人ではじめて

第41章 誓って…

「…抱きしめて…キスまでなら…良い?」

「だめ。ちゃんと別れてから…ね?」

そう釘をさす。

自分にも言い聞かせる。

「抱きしめるのだけは?」

引き下がらない。けど、その気持ちもわかる。

「抱きしめるだけだよ?」

「うん!」

そう返事しながら、腕を伸ばして私を引き寄せた。

ぎゅっ…

私も竜一くんの背中に回した腕に力を入れる。

「…ずっと前から…」

それは思ってたこと。

「ん?」

「竜一くんのこと、知ってた気がするの。」

「そっか。俺もだよ。」

「ワガママで自分勝手で、本当にごめんね。」

「なんだっていい。そんなこと。今ここに居ることが全てだよ。ありがとう。想ってくれて。」

しっかりと抱き合ったその温もりは、本当に懐かしかった。

愛しさと切なさが入り混じる中、愛しさの方が優ってた。

だけど、これからヤスくんに別れを告げるという現実は、重たかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ