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ぜんぶ二人ではじめて

第41章 誓って…

頷けずにいる。

「…まだ…いて?」

そんなことを言って、困らせる。

「…市川…。これ以上一緒にいたら、俺、市川を本当に傷つけちゃう。…ヤスくんにつけられたマークを見ながら、その上から俺のマークをつけたくなっちゃうよ。」

そう言われて、うなじにつけたって言ってたマークを手で隠した。

「…素直な気持ち、聞かせてくれるの?」

竜一くんがそう言った。

「…ヤスくんと…たくさん一緒に…さっきまでいたの。」

少しずつ話し始める。

「うん。」

優しく頷く竜一くんに甘えてしまう。

「ヤスくんといたとき、すごく好きだなって思ったの。ずっと一緒にいたいって…。前から…竜一くんといるとき、ヤスくんがいるのに、ドキドキするから、いけないことしてるみたいで…ダメって言い聞かせてた。さっき、ヤスくんが誰かと抱き合ってて、心がざわついた。私にとってヤスくんは心いっぱいに愛をくれる人だと思ってた。…だけど、あんなシーン見ちゃったら、色々考えちゃう。一人でいたらたくさん嫌なこと考えちゃう。…今、竜一くんがいてくれるから、どうにか落ち着いているけど。もし、ヤスくんが誰かと今一緒にいて、誰かと愛し合ってたら、赦せる気がする。」

ゆっくり話してるのに、竜一くんは、頷きながら、優しく見つめながら、聞いてくれる。

「それは、竜一くんがいてくれるからだって思うの。」

そう話した。

「…もし…ヤスくんが浮気してて、もし、市川と別れたいって言ってきたら、赦せるってこと?」

優しい眼差しの中に真剣な光を放ちながら、そう言った。

「うん。…たくさん一緒にいられたし…。誰かがヤスくんを必要としていて、ヤスくんもその人を必要とするなら仕方ないし。」

そう話した。

「市川の気持ちは?」

「…竜一くんに甘えたい。ひどくワガママだけど…。…抱きしめてくれたとき…嬉しかった。竜一くんは無理矢理ってこともないかなって、安心した。…バカだなって思うけど、竜一くんのこと…好きだなって…思ったの。」

「…マジで?」

「うん…」

「…ありがとう、市川。ヤスくんと話したら…ちゃんと別れたら、その…俺と…付き合ってくれないかな?」

胸がキューーンとなる。

「…はい。ちゃんと話したら…お願いします。」

なんて自分勝手なんだろう。

だけど、それが今の気持ちなの。

ごめんなさい、ヤスくん。

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