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ぜんぶ二人ではじめて

第42章 笑って…

美月は、水を飲もうとキッチンに行ったとき、果物ナイフを見て、フィードバックしたらしい。

自宅を怖がるから、俺の部屋に入って、美月が落ち着いて眠るまでそばにいた。

俺がいくら美月に寄り添っても今日の出来事は、美月にとって心に強く刻まれたろうから、意味がないのかもしれない。

だけど、少しでも忘れていってほしい。

その分、楽しく、幸せになってほしい。

それを俺が一緒に…

「ヤス兄…。七海ちゃんとはどうするの?二股するの?」

目覚めた美月が無垢な子どものような表情でそう言った。

「ちゃんと話すよ。二股なんかできるほど器用じゃねーよ。美月といるって決めたんだ。ナナちゃんに話したらお前にもちゃんと話す。少し、待っててくれ。」

「分かった。ありがとう、ヤス兄。」

それにしても…

さっきまでこの部屋で…ナナちゃんを抱いてたのに。

俺はなんて薄情で、いい加減なヤツなんだろう。

ナナちゃんになんて言おう…

それもそうだが…彩月があんな目に遭ったあとなのに、美月まで…未遂とは言え…

親父さんとおばさんに何て話そう。

新井さんに相談した方が良いのか。

俺はまたスヤスヤ眠った美月のキレイな寝顔を見て、いろんなことを考えていた。

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