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ぜんぶ二人ではじめて

第43章 疑念

side 七海

学校…行きたくないな。

なんて、いつ以来だろう?

残り数日の春休みはゆっくり家族と過ごすとヤスくんに伝えてたからか、特に連絡もなかった。今までこんなことは一度もなかったのに。

同じように伝えたけど、竜一くんからは他愛のない連絡がよく来た。

放っておいてほしい思いはあまりないのに、ヤスくんは…

家の一本向こうの道を何台も自転車が通る。

その集団の中に、ヤスくんと昌樹くんと円香ちゃんと美月ちゃんが見えた。

私もそろそろ行かなきゃ…。

別に一人で行くことには抵抗はない。でも、ヤスくんと昌樹くん、先に行く時は連絡くれたのに…

なんだか腑に落ちない気持ちで家を出た。

ゆっくり歩いてると、緑地公園入り口…

始業式か…

すぐ終わるし…終わったらここに来よう。

学園に着くと、クラスが貼り出されていた。

あ…私、親衛隊のみんなと一緒だ。

ヤスくんと昌樹くんと彩月ちゃんとは別のクラスだ。

神様にイジワルされてるみたい。

新しい教室に入る。

「市川、おはよー。」

親衛隊のみんなが口々に言う。

「おはよ。」

わりと笑顔で返したはずなのに、

「元気ないなー。」

と、バレてしまう。

「そんなことないよ。大丈夫!」

そう答えた。

「ナナちゃん!おはよう!」

ヤスくんが隣のクラスから来た。

「おはよー、ヤスくん。」

会いたかったはずなのにテンションが上がらない。

「クラス、離れちゃったな。」

「うん。」

「寂しいけど、ちょこちょこ遊びに来るよ。」

「うん。ありがとう。」

そう言って、ヤスくんは軽く手を挙げて、またクラスに戻っていった。

聞けないよ。誰と抱き合ってたかなんて。

私も竜一くんと抱き合ったんだもん。

しかも嫌じゃなかったんだし。

新しいクラスの座席が竜一くんの隣だった。

始業式のため、講堂に集まる。

並んだ隣が竜一くんだった。

始業式は先生の話しを聞いてるだけ。

担任発表の時だけみんな興味津々!

うちのクラスの担任は、他の学校から来た、新しい先生で、神保俊秀(ジンボ トシヒデ)先生。担当は数学。

「市川、あいつロリっぽいから気をつけて!」

竜一くんが突然そう言った。

ロリ?とは…?

教室に移動して神保先生が自己紹介をする。

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