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ぜんぶ二人ではじめて

第43章 疑念

「みなさんにも自己紹介をして頂きます。私が名前を呼んだら名前と所属してる部活を紹介してください。」

「初めは市川だな。」

隣の竜一くんがそう言う。

「え?なんで?」

小声で話してるけど、周りがガヤガヤしてるから目立たないだろうと思って反応した。

「ロリだから!」

「ロリって何?」

「…あとで説明するよ。」

頷いて、時を待ってると、先生が、

「では、市川七海さん!」

ほらな!って顔をする竜一くん。

「あ!はい。市川七海です。部活は吹奏楽部でフルートをさせていただいてます。よろしくおねがい致します。」

「はい、ありがとうございます。市川さんはフルートを吹くんですね。部活は楽しいですか?」

「はい。」

「フルートはいつからやってるんですか?」

「8歳からです。」

「そうですか。今度聴かせてくださいね。」

「はい。」

普通に答えたつもりだけど、その後の自己紹介で先生から質問することはほとんどなかった。

授業を受けて、掃除の時間が過ぎ、部活をしていた。

休み時間にいろんな人から、私が神保先生のお気に入りだって言われた。

竜一くんからロリについて説明もされた。

「ロリはロリコンの略。良い大人が幼い少女を性の対象として見る、性癖を持つ大人のことだよ。市川と神保先生は一回り以上離れてるから、先生からしたら幼い少女に値する可能性が高い。だから気をつけてね。」

そう言われて警戒するように心がけた。

私も自己紹介の時間での違和感は感じてる。

ヤスくんに話した方が良いかな?と思いながらも部活の時間になるまでゆっくり話せなかった。

部活をしてると、神保先生が現れた。

練習中だから話すことはなかったけど、部活が終わって教室でヤスくんを待とうと思い、移動してると…

「市川さん。」

神保先生に廊下で声をかけられた。

「はい。」

一歩下がる。

「フルート、とても素晴らしかったです。コンクールとかに出ないんですか?」

「ありがとうございます。コンクールには出ません。」

「もったいないですね。先程練習していた曲は、野球部の応援用ですか?」

「はい、そうです。」

「試合も気合が入りますね!市川さんは彼氏はいますか?」

え?急に何?何て答えたら良いの?本当のことを言ったら、ヤスくんにマイナスなことがある?

私は少し考えた。

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