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ぜんぶ二人ではじめて

第43章 疑念

心臓が飛び出しちゃいそうだよぉ!

竜一くんの手…初めて…こんな風に繋いで歩く…。

どこか懐かしく感じる竜一くんの温もり。

「市川は、ホントに俺で良いの?」

いつのまにかものすごい差が出来てた身長差に目線が追いつかない。

「ヤスくんを失いそうだから竜一くん!て、そういうわけじゃないよ?」

なんて答えたら良いのか分からなくて、まだ伝えてなかった事を言う。

「うん。そうじゃなくてさ…市川は、親衛隊以外からもモテるじゃん?今まで、ヤスくんの前とか付き合ってる間に誰かにコクられて、その人にしようとか、思わなかったの?」

「…そうだね…。ヤスくんと付き合ってるから誰かにっていう感情はなかったよ。ヤスくんと付き合う前に告白されたことは…あったけど…その時はもうヤスくんのことが好きになってたから…思わなかったかな。」

正直に答えた。そして…

「だから今、竜一くんへの想いもあの時、流されてそう思ったのか?とか、いろいろ考えたの。」

そう続けた。

頷きながら優しく聞いてくれる、竜一くん。

「だけど、竜一くんの広い心とか、温かい心とか、尊敬できる部分が大きすぎて、私も竜一くんみたいになりたいって思ったの。もし、誰かを包み込めるくらいの心の大きさを持てたら、竜一くんを包みたいって思ったの。ホントはね?今すぐ抱きしめてほしいし、今すぐ…竜一くんの…彼女に…して…ほしいよ。」

伝えながらだんだん恥ずかしくなって、握ってた手を強く握った。

「…ありがとう、市川。すっげぇ嬉しい!ちゃんと待つよ、俺。急かすつもりもない。俺は、昔、市川に出会って、なんて可愛い子なんだろう?!って思った。市川と話すようになったら、市川のことがもっと知りたくなった。護りたいって本気で思った。市川が幸せなら俺は嬉しいけど、その幸せを築けるのが俺だったら最高だなって…。ホントは、俺もすぐに彼氏にしてほしい…。…ゴメン!ちょっとだけ…その……抱き締めても……良い?」

大きな葉桜の木の陰で…

コクン…

ギューって優しく抱き締めあった。

「竜一くん…好き!」

想いが溢れる時は止められなかった。

「俺も…市川…好きだ!」

見つめ合うと、言葉はもう要らない。

もう一度、強く抱き締めあった。

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