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ぜんぶ二人ではじめて

第44章 告白と変化

「お前はホントに…まったく…。ガキの頃から変わんねーな。」

「えー?私、クソガキのまんま?」

そう言って、少し体を離して、俺を見つめる。

このアングルは可愛すぎる!

「そ。クソガキのまんま。」

そう言ってからかう。

「むぅ!」

「むくれてやんの。」

「むくれてないもん!」

「むくれてるじゃん。このほっぺー。」

そう言ってほっぺをムギュッと掴んだ。

こんなやりとりは、美月ならではだ。

「子ども扱いしないでよね!」

「へいへい。」

「もぉ!ヤス兄のばーか。」

そう言いながらも抱きついてる。

「ごめん。ごめん。」

「私を大人にしたのはヤス兄じゃん!」

急にそーゆーことを言うから、ギョッとする。

「声でけーし。」

照れるし…

「照れてるー!」

このクソガキのやりとり、いつまで続くんだ!?

「うるせーなぁ。」

「えへへー。ヤス兄、だぁい好き!」

見つめる美月。

チュッ……

なんでしちゃったんだよ、俺!

取り返しのつかないことをしてしまった……

そう思った。

「ヤス兄……」

カッコ悪いから言い訳もできない。

目なんて合わせられない。

「やっちまった。」

そう言ったとき、

「ヤスくん。」

「え?」

「七海ちゃん?」

「ナナちゃん!!!」

まさか……見られた!?

「七海ちゃん!ごめんなさい。……どこから……見てたの?」

涙を堪えてるナナちゃん。

俺は車イスに移動して、ナナちゃんの元へと行く。

「ごめん。ナナちゃん。」

頭を下げた。

俺は最低だ。

「ヤスくんと美月ちゃんの声が聞こえたから、見ちゃいけないって思ってたんだけど…ドア開いてたから…そしたら…2人がキスしてた…」

その場に座り込んだナナちゃん。

「七海ちゃん。」

「ナナちゃん…ごめん。」

「…はぁ…」

ナナちゃんがため息をついた。

「私、帰るね?」

美月が言う。

どうするか考える。

「うーん。そう…だな。そうしてくれ、美月。」

「わかった。」

パタパタ…足音を立てて美月が去っていった。

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