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ぜんぶ二人ではじめて

第44章 告白と変化

side 泰宏

野球三昧の日々が始まり、俺は朝から晩まで練習やら、試合やら……

春の甲子園では、無事に勝ち続け、決勝まで進んだが、あと一歩のところで負けてしまった。

決勝戦で、俺はスタメンで出た。4打数3安打で、まあまあ好成績だったのだが、最後の打席でヒットを打ち、セカンドからスライディングで盗塁を狙ったところ、相手に思い切りブロックされ、しかも、間違えてだが、足首を踏まれ、アキレス腱を切り、全治1ヶ月と診断された。

今、彩月と同じ、ナナちゃんのお父さんの病院に入院している。

とはいえ、丸1ヶ月の入院ではない。はじめの一週間だけだ。

みんなが毎日見舞いに来てくれる。

彩月も良くなってきてて、もう少しで退院だというのに、今度は俺かよ。

病室のベッドで腹筋しながらいろいろ考えてると、

コンコン!

と。ノックの音。

「はーい?」

「ヤス兄、入るよ?」

「おう。」

「また筋トレしてたの?」

「美月。一人か?」

「うん。……ちょっとね…」

「おぅ。どうした?」

「……一緒にいたいんだもん。」

美月…

個室のこの部屋は、日差しがたっぷり入る。日差しが美月をキレイに照らす。

「分かってる。待たせててごめんな。今日、ナナちゃんが来たら、話すよ。」

「本当?」

「あぁ。…おいで?」

両手を広げて美月を呼んだ。

「ヤス兄!大好きッ!」

美月のこのテンション。すげぇ可愛い。でも、今は冷静でいないと…これからちゃんと話すから。

「ヤス兄、キスして?」

「ばか。今はダメだ。」

「なんで?」

「なんでも!」

ちょっと強めに言った。

そしたら、ポロっと涙を流す。

「バカ。泣くなよ。これから別れ話するって時に、美月とキスしたら、それだけじゃ終わんねーだろ?万が一、ヤッてるとこ見られたら、それこそすげぇ嫌な終わり方になっちゃうだろ?お前のことが好きだから…分かってくれよ。な?」

宙ぶらりんでごめんな。

美月が俺にすりすりする。

「…分かった。」

「よしよし。ありがとな。」

ドクンドクンドクン……

キスしてぇ…。

なんでこいつ、こんなに可愛いんだよ。

「あーあ。すげぇキスしたい!」

「ヤス兄…」

「俺もお前と同じだよ。」

「大好き?」

「あぁ。」

「ちゃんと言って?」

「あとでな。」

「けーち!」

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