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ぜんぶ二人ではじめて

第4章 晃くんが分からない

頬を染めたまま、教室に入る。

ホームルームのあとの休み時間……

一時間目は音楽。音楽室に移動する。

三年生の教室の前を彩月ちゃんと通る。

「七海ちゃん!晃をふった理由を教えて?」

と、誰かに声をかけられた。

振り向くと、佐々木 里果(ささき りか)先輩、藤本 愛菜(ふじもと まな)先輩、嘉納 類歌(かのう るいか)先輩がいた。

「おはようございます。」

「おはよ。さっきの話、聞こえた?」

「はい。」

「なんで晃をふったの?」

「晃くんのことは友達としては好きですが、それ以上の気持ちはないと思ったからです。」

「じゃあ!晃のこと、七海ちゃんは何とも思ってないんだね?本当に。」

「はい。」

「分かった。ありがとう。でも七海ちゃん、恋してるよね?」

「えっ!?」

「してる。そういう目、してるもん。」

「そうですか……。」

「うまくいくといいね。」

「はい……。」

「呼び止めてゴメンね。」

「いえ。失礼します。」

そう言って去ったけど……

何なんだろう。

「七海ちゃん、怖くないの?先輩たち。」

彩月ちゃんが心配そうに話す。

「え?うん。別に怖くないよ?」

「そうなの?あの人たち不良だって聞いたよ?」

「そうなの?先輩たち、見た目ハデだからいろいろ言われてるだけだよ、きっと。」

「確かに。めちゃくちゃハデだよね。」

「でも、自由で良いね!」

そんな話をしていると、

「大丈夫?」

泰宏くんが走ってきた。

「ん?」

「市川さんが不良グループに囲まれてるって聞いて……?」

それでわざわざ来てくれたの?

「ありがとう。大丈夫だよ。」

笑顔で答える。

泰宏くんが赤くなる。

「ねぇ?二人とも……想い合ってるんじゃないの?」

彩月ちゃんの一言で、ドキン!

胸が鳴る。

「えっ!」

キーンコーンカーンコーン……

予鈴が鳴る。

昨日のこと、今朝の話……思い出す。

好きなのかな?

ドキドキドキドキ……

やっぱり、好きなのかな。

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