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ぜんぶ二人ではじめて

第45章 長い夜

side 竜一

初めまして。竜一です。このたび、親衛隊の一人から七海の特別になりましたので、こうやって登場させていただくことになりました。

以後、お見知り置きを。

身長187センチ、体重68キロ。野球部で、ファーストです。

この一年でメキメキ身長が伸びて、筋肉もつきました。成長痛で悩まされまくり。

市川七海のことはずっと前から好きで追っかけみたいなことをしていた。それくらい彼女のことが好きだった。

小等部の頃、空手をやってて、七海が俺の通う道場の隣のビルの音楽教室に通ってて、その時から一目惚れしてた。七海は覚えてないけど。

中等部に入ったら、野球がめっちゃ楽しくなってきて、その中で好きな子の話とかで盛り上がった時に、晃と悦史が七海が好きだって言うことを知り、俺もだと話したら、晃と仲良かった輝と、俺と仲良かった彰一も好きなんだって言うので、もともとそこそこ仲が良かった俺たちはファンクラブを作ろうってことになった。

七海を少しでも身近に感じられるよう、しょっちゅう隠し撮りはしていた。

七海と話すチャンスもないまま、高等部に入学して、七海はますますモテた。当の本人は気づいてないけど。

俺たち、ファンクラブの存在を明かすかどうしようか、なんて悩んでるうちに、七海はヤスくんに惹かれていった。それは七海を見ていた人間なら誰でも分かることだった。

誰かに盗られるくらいなら、告白しよう!って意見が一致して、それぞれが告ることになった。

そこで輝が間違えたから、七海は一歩、俺たちを警戒するようになった。きっとそこでヤスくんはうまく進めたんだと思う。チャンス!だもんな。ヤスくんが七海のことを好きなのも、すぐ分かった。

これはマズイと思ってはいたけど、どうにもできなかった。もどかしかった。

一年間、ヤスくんとのイチャイチャを見てきて、イラッとすることもあったけど、ヤスくんにしか見せない表情をチラッと見た時、七海が幸せなら守護に徹しようって思った。

今、七海はヤスくんと別れたばかり。だけど、七海は俺を必要としてくれてる。

ずっと好きだった。

一日中見つめて終わった日々ともおさらば!

手を出そうと思えば出せるんだ!

問題は俺にそこまでの勇気があるか…だ。

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