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ぜんぶ二人ではじめて

第48章 君のためにできること

side 竜一

目が覚めたら七海と目が合った。

「あ…竜くん…」

なんだかリアリティのあるような、ないような…

まだ夜中だった。

「七海も起きたの?」

「うん。」

幸せな夢を見た。

「夢、見たの。」

七海が細い声で話す。

「どんな?」

「…竜くんと…手繋いだり、微笑み合ったり、腕組んだり…」

電気を弱くつけた。

「へぇ。俺もそんな夢、見たよ。」

事実だ。

「え?」

「電車の旅?次から次へと場面が変わる夢で、七海と幸せそうに笑って、歩いてて……ウエディングドレスを着た七海と…未来を誓い合ってる夢だった。」

見たままを答える。

「え??同じだよ?!私が見た夢も…ウエディングドレスを着てた。竜くんも白のタキシード着てて、父さんや母さんたち、たくさんの人が出てきたの。」

興奮しながら話す。

「同じ夢見るなんてあるんかな。」

「きっと……同じ夢だよ。……私にそっくりな子がいたの。…おめでとうって言ってたの。」

それは!百華だ!

「竜くんとも話してた。あれは……」

七海が思い出そうとしてる。

ショックな出来事を忘れために封印した。

百華が思い出して欲しいと思って過去から未来を同じ夢という非現実世界で見せたのではないだろうか?

俺は、百華が死ぬ前に、七海と出会った日の一週間後に会った。

七海が帰ってから電車の中で、俺がハンカチでひよことか折って遊んだと話してた百華。

七海をよろしく、と言っていた百華。

俺は違和感を感じつつも、七海への想いを見透かされたのかと思い、百華と話をした。

七海とまた会いたいと思ってることを伝えてくれと頼んだ。七海も俺にまた会いたい気持ちがあると言うことを知った。

七海と姿形はそっくりだが、口調が違った。だから、俺はすぐに七海ではないと分かった。

2人を見破れたことも俺が初めてだと話してた。

七海…百華を思い出して…

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