テキストサイズ

ぜんぶ二人ではじめて

第48章 君のためにできること

side 七海

竜くんと同じ夢を見た?!

そんなことがあるなんて!

信じられないけど、話す内容を聞いてたら、同じ!

夜中なのに、テンション上がっちゃう!

それにしても、私と同じ顔をしてたあの子は…

誰なんだろう?

懐かしい…初めて会った気がしない。

大切だった…

「竜くんと話してたよね?…竜くん、あの子、知ってるの?」

優しい雰囲気。

「七海は、その子を見て、どう感じたの?」

「…懐かしいなぁって思った。大切…って。」

「うん。そっか。そうだね。」

!!!

「あ……もも…か?」

「思い出した?」

「うん……!」

「一度…百華に会ったことがあるんだ。」

「え?」

「七海と出会ったあの日の一週間後。七海と百華は同じ音楽教室に通ってたよね。」

いろんなことを思い出した。

「うん!」

そう!そうだよ。

百華はフルートの天才だって言われてた!

「七海はあの日、1人だった。それは、百華が風邪をひいてたから。その一週間後に七海が風邪をひいて、教室を休んだ。その時、百華に会ったんだ。七海が俺のことを楽しそうに嬉しそうに話すから、会ってみたくなったって言ってた。」

「あ…。そう。あの日の電車での出来事…私、竜くんにハンカチでひよことかバナナとかの折り方を教えてもらって、家に帰ってから、百華と…折ったの。竜くんと話したことも。…ステキな出会いをしたって話したの。」

ポロっ…

涙が止まらなくなる。

「百華…百華ぁぁ!」

「七海!」

竜くんが抱きしめてくれる。

「私が!!!百華を!百華を…!」

「七海。大丈夫。誰も七海を責めたりしないよ。百華も、全然、責めてなかったろ?」

私をかばって、百華は死んだ…

この家を建てる時…材木を用意してあった小屋があって…

絶対入ったり近づいたらダメって言われてたのに…

隠れんぼして遊んでたあの日…

そうだ!

時計を見ると夜中の12時50分…

百華が亡くなった時間…命日…

今日、百華の命日だ!

「百華ぁぁ…」

「百華の葬儀に学園の人たちはほぼ参列したんだよ。その時、七海はショックで寝込んでるって、七海のお父さんが話してた。不慮の事故とは言え、七海は自分を責めるだろうって。だから、百華のことはみなさんの心の中で覚えていてくださいって。七海に無理に百華の話をしないで…って」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ