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ぜんぶ二人ではじめて

第6章 シュガーな守護

声は出さず、ただ、涙がこぼれる。

「市川さん、大丈夫?」

泰宏くんが、ハンカチを差し出した。

「……(コクン)……」

ただ頷いて、

「ありがと。」

小さな声で伝えた。

「輝くんに何かされなかった?」

そう聞かれて、

「……」

答えられずにいると、

「抱きしめられただけ?他に嫌なことされなかった?大丈夫?」

yesかnoで答えられるように聞き直してくれた。

「ううん。」

そう答えると涙が溢れた。

「何されたの?」

「……お尻…と首………触られた……」

「……無理やりってことだよね?」

泰宏くんが優しい声で包んでくれる。

「うん。」

「輝くんは市川さんのことが好きなんだね。」

泰宏くんが優しく、見つめてくれる。

「うん。そう言ってた。」

顔色は変わらない。

「そっか。でも、市川さんは断ったんだ?」

声が……ざわつく心の波を穏やかにしてくれる。

「うん。」

泰宏くん……

「そっか。」

少しずつ落ち着いてきた。

「泣くほど嫌だったんだね。」

「……怖かった。輝くん、私とエッチなことできるなら嫌われても良いって言って……。お尻……揉むんだもん…………」

また涙が出てきた。

「なっ!!!?」

「……首も触るし、手も……」

「市川さん……俺、輝くんにムカついた!……嫉妬してる。」

ドキンッ!

「泰宏くん……」

「輝くんが触ったとこ、…首の…どこ?」

「ここ……だよ。」

「触って良い?」

「う、ん。」

そーっと、優しく撫でるように首筋を触れる。

ビクッ!

敏感に反応する。

でも、泰宏くんの触り方、すごく優しい……

目を瞑ってドキドキに集中した。

「輝くんのバカヤロー……」

そう言って、包み込むように抱き締めてくれた。

「俺……他の男に市川さん、触られたくない!本当はお尻触られたからお尻も触りたいけど、そんな勇気出ないよ。」

そう言ってキュッと唇を噛み締めた。

バクバク言ってる心臓……

泰宏くんの心臓もバクバク言ってる……

「泰宏くんに触れられた場所、熱いよ。……泰宏くん……胸の中、落ち着くよ。助けてくれてありがとう。」

「んッ!」

ギューーーッて少し強めに、だけど優しく抱き締めてくれた。

心地よくて大好き!

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