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今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡

第2章 バレンタインの事情♡その①






「部屋…行くぞ」


そう耳元でそっと囁いた渚くんが、静かに頷くアタシの手を引く。

しかし、


「「ッ…、ちょっと待った!!」」


あ……

その瞬間、横から飛んでくる息のあった叫び声。


完璧にハモってる…

ケンカの最中とは思えない絶妙なタイミングだった。

振り返れば、言い合いが取っ組み合いにまで発展した葵くんと聖くんが互いの胸元を掴みながら、思いきり渚くんを睨んでいる。


「ナギ、横取りしないで!!」

「そうそう、ちーちゃんはオレのだから♪」

「だから、違うでしょーに!!」

「もう、うるさいなぁ…」


ゲシッ!!


「………行くぞ」


聖くんの蹴りが葵くんにヒットして、結局言い合いに戻るふたりを渚くんは完全にスルーする。


しかし、彼が再びアタシの手を引いたところで…


「だーかーらー…」

「横取りしないでって言ってるでしょーに!!」


ヒィッ……!!

渚くんに迫るふたつの影。


「渚くん、どさくさに紛れないでよ!!」

「ちょっと、ちーちゃんはオレが先なの!!」

「………あ!?」


さすがにふたりがかりで引き離されれば、いつも冷静な渚くんと言えど黙ってるわけもなく…

それに付け加えて彼は今、徹夜明けのお疲れモード全開でオネムだということを忘れたらいけないわけで…


「……さっきからお前らグダグダうるせぇな!!」

「─────!!」




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