
今宵もネムリヒメに素敵な夢を...♡
第6章 風邪なんてオレにうつしてさっさと治しちまえよ♡ver.渚
で、でもっ…
「すっ…」
…ストーップ‼
丁寧にハンドルをさばきながら思わぬ核心をズバズバと付いてくる明智さんに、アタシは咄嗟に声を張り上げていた。
「へ、平気です‼それか気のせいっ。明智さん、メガネの度数…」
「…2.0です」
「………!!!」
はうぅぅぅ…
ダメだ、さすが渚くんの家臣(←ではありませんが)…
万事休す。この天才執事(←でもありませんが)の目は誤魔化せないんだ…
「少し…」
「はい…」
「頭が痛いだけです」
「あぁ…頭の調子が、悪い…と」
「………」
…ここで予期せぬ毒舌なデジャヴュに遭遇するけれど、突っ込んでいる余裕はない。
「それだけですか?」
「少し…カラダがだるくて、熱いような…寒いよう、な…」
きっとこの人には嘘は通用しない。
ミラー越しに突き刺さる彼の視線にいたたまれなくなって、俯きながら現在の自分の状況を正直に吐露する。
「はぁ…それはいわゆる何とかはひかないと俗に言う風邪の諸症状では。確かにここのところ寒暖差が激しかった故、さすがの貴女でも自然には敵いませんか」
案の定、明智さんから返ってくるのは得意の毒舌と呆れたため息。
でもっ…
「少し、ですから!!」
「はい…?」
「その、ほんの少し体調が優れないだけですので…」
そんなカラダの異変に気付いたのは、明智さんに出掛ける支度を施され部屋に駆け込んですぐのことだった。
