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「着いていらっしゃい」

私から何かを感じ取ったのか
その女性はそう声を掛けると
颯爽とその雑居ビルの中へと
入っていった。

私は慌てて女性の後を追う。

地下へ繋がるエレベーターに乗り
開いたドアの先は
何の変鉄もない事務所の風景だった。

「仲谷さん。こちらの可愛らしい女の子が
働きたいそうです」

私は一言だってこの女性に
そんなことは言っていない。

それどころか言葉ひとつ発していない。

女性は私に向かって微笑んだ。