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「抱いてください」

一之瀬の腰に両手を回し
胸に顔を埋めた。

こういった行為は何度もしたことはあるが
それは私の真意とは裏腹で悪意であり
そう仕向ける上でやむを得ないことだった。

今は違う。

心の底から一之瀬に抱かれることを願う。

一度だけでいい。

一晩限りでいい。

一之瀬の温もりを肌で感じたい。

泣きっ面を上げ
言葉を口にしない一之瀬に
私から唇を重ねた。

一之瀬は意を決したのか
私の身体に手を回した。