私の熊
第5章 大切な日
折角熊さんから教えて貰った生年月日。
今日が熊さんの誕生日でした。
でもその日はたまたま残業付きで熊さんの仕事が長引いたらしい。
もうこの時点で熊さんの誕生日を忘れてしまっていた...
連絡が無くても自分からおめでとうメールは出来たのに、大切な日を忘れてしまっていたんです。
深夜、日付の代わり際に熊さんから連絡があった。
《話すー?》
と。
勿論、
《話すー!》
と、答える。
チロリン♪チロリン♪チロリ...
1日1日と、熊さんと話せる事が毎日の楽しみになっていた。
「もしもーし」
そう声を掛けると、熊さんの方から
「ばあん!」
と、机を叩くような効果音で登場した。
私はこの登場の仕方に困って、ばあんと言い返した。
「かなこー?」
「んー?」
「今日なんの日か分かるかい?」
そう、この熊さんの言葉でやっと気付いたんです。
「あ!!!」
「あー?」
「しまったー!!」
熊さんは少しいじけ気味だった。
そりゃそうだよ。自分だって忘れられるといじけるもん!
と、自分に馬鹿!と心の中で叫んだ。