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リモーネ

第5章 ペチュニア



「セナさ、どうやってこの学校入ったの」

神崎先輩から暗記せざるを得ない教科のアドバイスをもらい、灰になっていたところ、凪が俺に話しかけてきた。

「…俺ですか、俺はね、友達に凄く優秀なやつがいて、部活引退してからずっと勉強教えてもらってたんです。」

「なんかこう、勉強する習慣とかつかなかったわけ?」

「いや喜一が…あ、中学のとき同じ剣道部だった片岡喜一っていうのがその友達なんですけど、教えるのすごくうまいんですけど、すごく怖いんですよね」

「もしかして反動で?」

「そうかもしれないです。
なんか、一人でできなくなっちゃって。
宿題とかなら終わりが見えてるんでいいんですけど…。」

「セナちゃん、俺らが見たげるからどうか赤点はとらないでね」

少し沈黙が流れたあとで俺の両肩を持ちながら神崎先輩は真剣な顔をする

こんなに真剣なのも、自分達が通う学校の校風によるものである。
赤点をとった者の所属する部は一定期間活動停止。
停止期間は成績によるが最低でも1週間。
しかもそれがテスト終了から約1週間後に発表される。
夏の県大会出場をかけた地区大会を控えている運動部としては大きな痛手となる。
その為、みんな必死に、流石に赤点はとらないように頑張る。


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