リモーネ
第8章 セッコク
予想以上に早く高校へついたかえでと星那は近くのコンビニで朝ごはん兼昼ごはんを買って、部室で他愛もない話をしながら食べていた。
星那が、早くついたので道場の鍵空いてます。というメッセージを部活のグループトークに送ってしばらくすると、道場の扉が開いた
「…おはよう」
そこには外からの光で表情がよくわからない剣道部現主将、神崎樹がいた。
「あ、おはようございます。神崎先輩」
「あっ!いっちゃーん…先輩オハヨウゴザイマス…」
どのような顔をしているかわからなかった星那に対してかえでは、その声色だけで何を考えているかが手に取るように分かったらしく、顔を強張らせて目をそらしながら話した。
「セナちゃん、元気?」
「?はい。元気です」
「…若いね」
「?ありがとうございます?(2つしか違わないんだけど…)」
「メープル」
「っはいっ!」
「地稽古30分」
「っひぇ…」
「返事」
「はいっ!!」
かえでは神崎に話しかけられてから彼が座ってスマホを見て少し目尻を緩ませるまで目に見えて怯えていた。