リモーネ
第6章 サンショウ
「ね、セナちゃん。
今日俺ん家来ない?」
翌日である土曜の部活帰り、いつものようにかえでと神崎先輩と凪の4人で帰っている途中、突然かえでにそう言われた。
「…?
いいですけど。どうかしたんですか?」
俺の返答にかえでは大いに喜び、ガッツポーズをして小躍りをしている。
そんなかえでを押しのけて凪が心配そうな顔で俺に話しかけてきた。
「…セナ、あの、ほら、家の人が心配するだろうから家に帰った方がいいと思う。」
「あ、いえ、全然そんなことは。うちの家族、基本誰も家に帰ってきませんから。」
「…あ、そっか、なんかごめん」
「いえ。いいんです。慣れてますから。」
「…嫌なことは、嫌っていうんだよ?」
「はい、わかりました?」
なんだか様子のおかしい凪にに疑問を抱きつつもいつも以上に様子のおかしいかえでを放って凪とくま助について語りながら帰った。