テキストサイズ

リモーネ

第4章 ツルバラ

「ちょっとセナちゃん。」

「どうしたんですか。かえで先輩。」

「どうしたもこうしたもないよ!」

昨日の鬼ごっこの罰である1週間の鍵当番の為、授業が終わるとすぐ剣道場の鍵を取りに行った。

道場を開けて、部室で着替え始めると直ぐにかえで先輩が入ってきて、絡まれた。

「なんで昼教室にいなかったの!?」

そして、ヒステリック気味に攻め立てられた。

「学食でカレーを食べてました。」

「それは知ってる!

セナちゃんいつも一人でカレー食べてんのに、
なんで今日は誰かと食べてたの!?」

「なんで知ってるんですか?」

「クラスの人に聞いたの!

上級生の、男の子が!誘いに来て一緒に仲良さそうに学食行ったって!」

「いやそっちでなく。

なんで、俺がいつも一人でカレー食べてることしってんですか。」

「ま、前にセナちゃんがそう言ってたの!(ほんとは見てたんだけどね!)

忘れちゃった?セナちゃんはおばかだなぁ~!」

「む、なんかむかつく言い方。」

「て、そんなことはどうでもよくて…」

かえで先輩は鞄をおろしながら言った。

「どうしたの。メープル。そんなに声を荒げて。」

そんなとき、突然、神崎先輩が部室に入ってきた。

「神崎先輩こんにち…ひぃっ」

「っ聞いてよ!いっちゃ…ん…主将」

神崎先輩は、俺が小さく悲鳴をあげるほどに、かえで先輩が思わず主将と呼んでしまうほどに、

恐ろしい雰囲気だった。


「…竜胆星那くん。

ちょっと話があるんだが…道場裏に来てくれる…?」

神崎先輩の登場による沈黙を破ったのは神崎先輩自身だった。

「…は…はいっ…!」

だが、あまりにも恐ろしい神崎先輩の発言と覇気に、俺の寿命はここで終わりか。と遺書を書いていないことを後悔するほどだった。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ