リモーネ
第4章 ツルバラ
誰も居ない剣道場の部室
野球部がグラウンド整備をしている声や、サッカー部がボールを探している声、陸上部がハードルを片付ける声…
そんな声が遠くで聞こえる
「かえで先輩、あの、俺先週先輩と一緒にいてすごく腹が立ったりしてたけど、楽しかったです。
今日それがなくなってすごく…寂しかったです。
だから、色々と…考えたんですけど、俺かえで先輩のこと、好き…なんだなっていう結論になりました。
あの…お試し期間じゃなくて、ずっと俺と付き合っててください。おねがいします。」
そう言うと俺の顔を真っ直ぐに見ていたかえで先輩が下を向き、両手で顔を覆う
突然のことに俺が慌てると顔をあげ
「まってた…」
と言って泣きそうな顔でくしゃっと笑った
その様子に俺は慌ててハンカチを取り出そうとして下をむくと抱きしめられた
「俺今、人生ん中で一番嬉しい!」
学校から駅までの道でやけにひっつこうとしてくるかえで先輩をどうにかこうにか引き剥がして電車に乗る
かえで先輩を引き剥がすのに手間取ったからかいつも人であふれている電車はがらんとしている。
それでも人が居ないわけではないので引っ付きたがるかえで先輩を引き剥がす
「セナちゃんは俺のことが?」
「…すき…」
「俺も!大好き!」
「ちょ、声大きいですよ…」
「あ、そうだ!セナちゃん俺のこと先輩つけちゃダメだからね」
「先輩は先輩じゃないですか」
「先輩じゃないときもあるでしょー?」
「…はぁ」
「そう!二人のとき!」
かえで先輩には俺が正解を言ったように聞こえたみたいなので俺、なにもいってないんですがという言葉は飲み込んでおいた
「…声がでかいです」