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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第7章 中学卒業、そして高校に

 こんなのウケるかなぁ……?


 そんな心配は口から溢れ出るほどあった。


 買うお金はないし、時間もないし、どうしようもない。開き直って押しきるしかない。


 もう、小学生の部の演者達が裏の通路にならんで、一人ずつ軽い打ち合わせの確認をしていた。


 その通路奥に、移動できるハンガーかけがあったのよ。下にキャリーバッグのコロコロみたいなのがついたやつね。


 この会館の方に「これ、借りてもいいですか?」と聞いたら、快く「いいですよ」と言ってくれた。


 財布の中には、2000円ちょっと。


 緊張と不安で食欲はないから、飯なんていらない。


 時計を見て梅田駅までなら行けると思った僕は、とっさに電車にのった。


 地下鉄で四つ目だった駅が、JRで一つ目。こっちの方が早い。


 梅田の阪急百貨店の肌着売り場で、白いシャツを1枚だけ買った。


 そして、会場に戻る。


 もう、小学生の演技が始まっており、入ろうとしたら「出場選手? エントリー番号の札を見せて下さい」と止められた。


 ヤバい……楽屋通路のカバンに入れたままだ。



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