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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第7章 中学卒業、そして高校に

 舞台から見下ろす観客に、緊張がピーク。


 舞台から見て、左側から出て、右側にハンガーかけがある。


 その距離が遠く感じた。


 しかも、自分が思い付いたとはいえ、ジーンズにスニーカーに素肌ジャンバー。


 テーブルマジックでもないのに、音楽無しに出てきて、お客さんは「?」てな感じ。


「あ、すいません、あわててしまって、下にシャツを着るのを忘れてました」


 失笑。


 そのままハンガーかけに、歩いて「すいません、このままでは恥ずかしいので、シャツを着させて下さい」と、ハンガーにかかったシャツをとり、舞台の袖に隠れて腕だけを出した。


「はい、3、2、1」


 出ると、ジャンバーの下にシャツを着ている。


 その瞬間、笑いと歓声がおきた。


 全身が痺れるほどの感覚。大ウケした。


 そして、リングを手に取った瞬間に音楽がなった。


 なんか、緊張と妙な気持ち良さが出て、調子がいいのがわかった。


 腕まくりをして、1本のリングにシルクを巻いた。


 これが目を引いたのか、ただそれだけで、拍手をもらった。



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