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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第2章 始めてみる

 その高島屋をうろうろしている時、おもちゃコーナーの端っこで、髪を七三に分けた、見た目韓流っぽいアニョハセヨ風兄さんが、赤いハンカチを持って、なにやら動かしているのを見つけた。


 そこはよく覚えてる。名前が「河内」だったことも。


 その方が、ハンカチを生き物のように、ヒョコヒョコと動かしてるんだ。


 奇妙な光景に目を奪われた僕は、立ち止まって見入ってしまった。


 すると、その河内さんは、トランプを出して、裏向きに扇状に広げて……


「好きなの1枚引いて、僕に見えないように覚えてくれる」と言った。


 僕は1枚引いて、カードを覚えた。


 河内さんは、カードをまとめて「じゃ、この上にカードを置いて」と言った。


 僕がカードを見えないように、裏向きに置くと、河内さんは、それを指差して「いま、ボクが覚えたカードだよね」と聞いてきた。


「はい」


 もちろん、それしか返事はない。


 河内さんが、上の1枚を表に向けると、まったく違うカードに変化していた。


「あれっ!?」


 強い衝撃を受けた。



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