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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第8章 偉大な人に会うも、横道に逸れるあの頃

 理容師って、ずっとハサミを動かしてるだけ。それに毛だらけになって、人の髪の毛を触るのに抵抗があった。


「そんなの、つまらないですよ」と言った。


「つまらないって言うけど、親父さんがその仕事をしてくれてたから、自分はここまで大きくなれたんちゃうか?」


「まあ、たしかにそれはそうなんだけど、僕が散髪屋になるならんは、また別でしょ。僕は料理の道にすすみたい」


「料理の道って、今やってた手品は? 両方やってくのか? 二足のわらじで出来るのか?」


 具体的な夢としては、両立があった。


「けどな、お前がそんな店やって、お客さんは料理を食べに来るのか? それとも手品を見に来るのか? それ、両方でお客さんを魅了させるのは、かなり難しいんと違うかな」


 こんな感じのことを言われた。


 たしかに、よほど努力をしなければ、両立なんて無理。そうなるように頑張ると言いたかったが、現実にそれができるかどうかになると、自信がなかった。


「お前が理容師になったら、親父さんは喜ぶぞ。それに、仕事でわからないことあったら、遠慮なく聞けるやないか。俺も理容師なんやから、聞いたらいい」



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