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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第9章 貧乏〜貧乏〜

 情けない話だが、僕はそれを回収した。


 まだ食べられるポテトチップスだよ。捨てるなんてもったいない。


 本来なら、大人である自分が、それを子供たちに教えなきゃならない。


「食べ物を粗末にするな」「捨てちゃダメだ」「ちゃんと、持ち帰って食べなさい」と。


 だが、僕は心の中で「子供たち、ありがとう」と言った。


 食べる物が手に入った。その喜びが大きかったな。


 食い繋げたんだから、ここは感謝だった。


 毎日、仕事が終わったら公園に行って、ゴミ箱を覗いた。


 入ってないこともあったが、ある時は最低、二袋手に入った。


 だが、これも長くは続かなかった。


 店のお客さんが、従業員の若いのが、ゴミをあさってるとマスターに連絡が入った。


 恥ずかしい真似をするなと、上から押さえつけられるように怒鳴られた。


 だから、真夜中1時2時にこっそりと起きて、回収しに行った。


 その時はまだ、行ってたんだよ。


 だけど、ゴミ箱そのものが、撤去された。


 誰か知らないが、死んだ猫をゴミ箱に入れてたんだとか。


 やめろっての。こっちが迷惑だ!!


 その公園はマンションのすぐ横にあったのよ。


 草むらみたいなのがあってね、そこで1万円拾ったのよ。



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