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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第9章 貧乏〜貧乏〜

 準備は出来ていたが、心が仕上がってなかった。


 はい、あまりの恥ずかしさと自信のなさで、なにも出来ませんでした。


 何人か通りすがりに“なにかするのかな?”といった感じに見ていきましたが、壁が厚かった。


 舞台やテーブルとは、訳が違う。


 歩道橋の下で「うぉーーっ!!」という歓声と拍手が聞こえた。


 ジャグリングのパフォーマンスをしている。火のついたトーチをクルクルと投げて、お手玉のように操っている。


 あれが、人を呼べるパフォーマンスだ。


 もし、この場でやるとしたならば……種や仕掛けがあるものだけじゃなく、テクニックを駆使したパフォーマンス、鮮やかな手さばきが必要となる。


 僕は一旦、この場を去って、もう一度、ネタを練り直した。


 お金を直接いただくのだ。ただ、趣味のようなマジックではダメ。


 自分はプロになった。


 販売プロだけでなく、マジシャンとしてプロになったんだから、それだけの物を見せられなければいけない。


 大きく派手に、鮮やかに見えるもの……あれをやるか。



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