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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第9章 貧乏〜貧乏〜

「僕はマジシャンです」


「うん……そうだろうなぁ」


 その男性はジロジロと見てくる。


 刈り上げ頭のスーツ姿。年齢からすれば、若い。僕より若いって感じはしなかった。


 同い年か、少し上か……。


「あのさ……俺、覚えてない?」


「?」


 知らん。


 まったく見覚えがないのよ。


 スーツ着てる人……そんな知り合いいないし。店のお客さんかな?


 本当に知らなかった。


 で、ここじゃ濡れると、場所を移すんだけど、付いてくるんだよ。


「ここは入り口前やし、あの角あたりどうやろ?」と親切に、場所まで探してくれる。


「ありがとう」て、いや、お前誰だよ……。


 だが、なんとなく思った。この男、僕の顔を知ってるんだけど、名前を忘れたんじゃないかと。


 こっちは、まったく思い出せないのよ。


 すると、男はパチンと手を叩いて言った。


「山本里美を知ってるか!?」


 知ってる。それは、僕が中学生のころ……て、ラリ夫じゃねえかっ!!


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