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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第9章 貧乏〜貧乏〜

「じゃ、もう一度やろう」 と、ラリ夫はまた上着で僕の顔を隠す。


 だが、ここで、こっそりとラリ夫があることをしたんだ。


 とりあえず、僕は彼に流れをまかせた。


 すっと、上着をとる。


 するとラリ夫が言った。


「同じ顔やないかっ!!」


「当たり前だろっ!!」


 僕はラリ夫の顔を見て、すぐにツッコンだ。


「なんで、メガネかけてんだよっ!!」


 お客さんは一瞬「えっ!?」となった。


 そう、顔を隠した時、ラリ夫は僕がかけていたメガネをとって、上着を引いた時に、そのメガネを自分にかけた。


 そう、最初の顔が変わるのはただのフリではなかった。


 メガネを移動させたんだ。


 なんの打ち合わせもない、完全アドリブの路上マジックをはじめやがった。


 ラリ夫がなにを考えて、なにをやろうとしているのか、まったくわからない。


 漫才みたいなツッコミをしたけど、テレビのお笑いの真似事で、あれでいいのかと探り探りでやってみた。


 なにをやったのか、ここからは付いていくのが、精一杯だった。


 だが、ウケてたのは間違いない。




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