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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第9章 貧乏〜貧乏〜

 もちろん、僕もネタをした。ラリ夫が空気を作ってくれていたから、やりやすかったし、こっちもノリノリでやれた。


 最後は、皆さんからお気持ちを頂くわけだが、何枚か千円札もあった。


 合計4万ちょっとあったんじゃないかな。4万て、相当ですよ。ほとんどが百円、五百円でしたが、ここまでお客さんが出してくれたってことは、ラリ夫の力がそれだけあったってことだ。


 それを二人で分けようとしたが、ラリ夫は「俺はいらない」と、受け取らなかった。


「いやいや、二人でやったんだからさぁ、半々、いや、僕が4で、としさん(僕は当時、そう呼んでた)が6で持ってってよ」


「いらない。これはお前のステージだったんだろ。てか、お前一人だったら、ここまでやれてたかどうかだ。路上パフォーマンスってこうやるんだよ。わかったか」


 ラリ夫は僕に教えてくれたんだ。


 昔だったら、カチンときてたかもしれない。


 だが、説得力は充分すぎるほどあった。


 続けて、ラリ夫は言った。


「いや、それを全部お前にやるから、俺と組んでくれ。今のでわかっただろ」



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