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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第9章 貧乏〜貧乏〜

 あのパフォーマンスの流れと運びを見ていたら、断る理由なんかなかった。


 自分の良さも引き出してくれている。


「なんで、僕を選ぶの? 僕でいいの?」


 あえて聞いてみた。


 すると、ラリ夫はこう言った。


「俺がそれを言うより、自分で気が付いてほしいんだよ。俺より優れてる面をもってるから、組んでほしいんだ」


 この言葉は覚えてる。てか、もっと言ってたはずだけど、これがグッときた。


 ラリ夫よりも優れてる点……それはなんだろう?


 なにもないはずなんだよね。だって、むこうは海外で入賞している実力の持ち主。


 ジュニアの大会でも優勝している。


 で、僕は言った。


「じゃ、ちょっと待って。僕がそれに気が付くまで、コンビの件は保留にしといてよ」


 気が付いてないのに、コンビ組んでパフォーマンスしたって、なにも出来ない。


 それを気がつかない自分がもどかしい。


 ラリ夫はその方がいいかも知れないが、自分で気が付いてほしいと言っていた。


 だから、自分で気付きたい。


 ラリ夫の返事は「それまで、誰とも組むなよ」だった。



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