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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第10章 関西奇術連合

 ディーラーMって紹介されるけど、客席は「誰それ?」ではなく「なにそれ?」な表情。


 まあ、メインはウルトラマンだからしょうがないわな。


 マジックをするんだけど、誰も見てねえ。


 早く終わればいいのに的な空気が流れる。


 けどね、最後までやらなきゃ、ギャラがもらえないわけですよ。


 時間までやらなきゃならないんだけど、与えられた時間20分は長いぞ。


 苦痛だぞ。テンション低いぞ。


 頭の上にまで、銀色のミラーボールを浮かしているのに「こいつ、さっきからなにやってんの?」みたいな空気が流れるんだよ。


 少しぐらい「おぉーっ!!」とか言えよ。


「以上、ディーラーMでした!! ありがとうございました!!」


 拍手パラパラ、それも嫌々かい。


 で、このイベントが終わるまで帰れないのよ。


 黙って見てるしかない。でも、実は後から知って驚いたエピソードがありましてね。


 いや、ウルトラマンて……て、思って、ステージ裏の休憩室で道具片付けてたら、男性が一人話しかけてきた。


「打ち合わせして見てたんですけど、アレ、なんで浮くんですか?」


「えっ?」


 ここのスタッフなのか、のぺっとした兄ちゃんなんよ。


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