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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第3章 調子乗り豆マジシャン

 お母さんに聞いてみよう。


 家に帰って、聞いてみた。


「お母さん、ロープってある?」


「ロープ? なんに使うの?」


「学校でお楽しみ会やるんやけど、僕と西くんで手品やるねん」


「また、手品ぁ……」


 お母さん、あんたは手品が嫌いか。


「たしか、押し入れにあったから出しといてあげる」


 あるっ!? やった!!


 難関、1つクリア!


 お母さんがロープを出してきた。


 それが、ビニール製のガッチガチなやつ。


 細かいビニールの繊維を束ねてねじった色違いの紐を、さらに互いにねじり合わせて作った、よく洗濯物を干したり、トラックに荷物をくくるのに使うようなあれ。


 工作用のハサミしか持たない小学生に、切れるような代物じゃないがな。


 ハサミがゆがむわ。


 両手をつこて、必死に切ろうとしたわ。


 てか、このロープがすぐに切れるといった、マジックをした方が不思議だろ!!


 切って、元通りって、こんなロープ、切らんでも最初から元通りやわ。


 お母さんからの、愛のある嫌がらせかな?



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