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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第3章 調子乗り豆マジシャン

「お母さん、これ違うし」


 こんなの切るだけで時間がかかる。そもそも、こんなロープ、切って元に戻すなら、最初から切らない方がいい。


 でも、それだったら、ただの商品紹介で終わってしまう。


「ここに一本のロープがあります」


 あるだけやん。切られへんのやから。


 もっと、軟らかいのは、ないのかね?


 まさか、ロープ探しでつまずくとは……。


「これ硬いし、無理や。もっと切りやすいのがええねん」


「ええー、そんなん都合よくないよ」


 まあ、そうだろう。テレビでマジシャンのロープマジックを見たことがある方は、わかるでしょう。


 ある程度の太さで、白くて軟らかい、あのロープ。


 あんなロープ、なかなか使わないでしょ。


 縫物用品店とかにあるかもしれません。


 よく、エプロンのヒモやら、手提げバッグに使われたりします。


「そうやねぇ、あとあるとしたら……」と毛糸やら裁縫の糸などが入っている、四角いクッキーの缶を開けた。


「あと、軟らかい言うたら……こんなんしかないよ」


 太さ1センチほどの、白い繊維で編み込まれた、しっかりして軟らかい……これやないかっ!!



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