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奇跡を生み出す腕を手に入れた、大阪の兄ちゃんの話を実話で公開

第3章 調子乗り豆マジシャン

 今度は氷を作るマジックだ。


 それは、マジックの本にも書いてあった。


 だが、これを一度、お母さんに見せてからボコボコにやられたわけで、なかなかこれを演じる気にはなれない。


 水を入れて、氷にするなんて、冷凍庫にしかできない。ここが南極なら、種もなしに出来るのだが、それはマジックじゃない。


 西くんが時計を見て「あっ、テレビ!」と言い出した。


「えっ、どうしたの?」


「テレビ見ようよ」


 そう言って、リビングまで二人で下りていった。


 西くんが見たかったのは、少し前にチラっと書いた、機動戦士ガンダムだ。


 ……とは言うが、この時、見たのが、ガンダムなのかどうかは、よくわからない。


 この時、あるものに目が向いて、二人同時に「あっ!!」といった。


 ガラスの花瓶(花瓶と言うか、グラスだった?)に植物がさしてあって、その中に、色鮮やかで透明な塊がコロコロしている。


 たぶん、シーグラスだった。


 シーグラスとは海辺で、ジュースの瓶やビール瓶などが割れたガラスの破片が、涙と砂で削られて表面がなめらかになるもの。


 その中に、やや角がたち、曇りガラスのようになってない、綺麗な無色透明のものがあった。


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