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第1章 みちしるべ

『1人でも平気でしょ』

そんな言葉を聞かされるのはもう何回めだろう。
ーーーーー1人でも平気ーーーーー
平気だよね。だって何も考えなきゃいいんだもん。
何も望まなきゃいい。期待しなきゃいいんだもん。
何をどうしたって結果はいつも同じ。
そんなんなら初めっからなにも.....
人生そんなもんでしょ。

「はいみーっけ!また振られたんすか雫ちゃん♡」

1人いつもの場所でため息をつく、そんでもって頭の中でリピートするあの言葉。
いつからやろここに来るようになったんは。
いつから1人になるとあの言葉が
リピートするようになったんやろ。
いつからこんなに毎日が面白くなくなったんやろ。
そんなの全部あの日から。全てを失ったあの日から…

「あっれぇー雫ちゃん無視⁇」

面白くはないかもしれやんけど退屈はしやんくなった
この人らのおかげで。
佐藤タク、杉田美玲、蒼葉涼。
この3人は私、松下雫のみちしるべ。

「なんでわかったん」

目の前に座るタクの問いかけにやっと返す自分。

「んー??泣いとったから?ここは通りかかっただけ」

ニコって笑いながらメニュー表を開くタク
その笑顔はいつもお見通しやよって言われとるみたいで苦しくなる。

「泣いてないもん」
「泣いとるよ。今だってほら平気じゃないよって顔しとる」

ほらお見通し。別に涙が出とる訳でもないのにむしろ無。
感情を出さん私はいつも無表情
でもそんな私でもタクから見たら違う。
タクは出会った時からそうやった。
人の表情や態度とかそーゆうことに敏感でいつもお見通しって顔で。
でも絶対自分から話すまで何も聞いてこやん触れてこやん。
その優しさがすごい嬉しかった。心地よかった。安心した。

「ばっかみたい」

ニコニコしながら私の頭をポンポンするタクにそんな言葉しか返せやんのはタクの言っとる事が間違えじゃないから。
どっちかと言えばあたっとる。
いつも人に興味なんかなさそうで何に関しても面倒くさそうでやのに誰よりも人の事見とって敏感で気を遣える人で。
そーゆうとこすごいなかなわんなって思う。


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