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家政婦の水戸

第1章 家政婦、その名は水戸奈津子

 資料は、何度も目を通したが、文句の付け所がない。


 規約も細かく、気になる点がない。


 性的な要求なんてしません。


 無茶なお願いなんて、しません。


 来てもらうだけでありがたいし、我々がお手伝いできることは、いくらでもします。


 そんな関係でやりたい。


 実は今日、来てくれることになっている。


 どんな人が来るのか、楽しみではある。


 もちろん、そんなつもりはないが……もし、子供達が気に入って……その方が、独身だったら、考えないわけでもない。


 まあ、そんなドラマみたいな物語はないですがね。


 さぁ、もうすぐ来るころだろう。


『ピンポピンポーーン』


 壊れたか?


 妙な音がしたな。途中で2回目を押したか?


「はーい、いま出まーす」


 娘の紗知が行った。


 早く会ってみたいが、ワクワクしていると思われてはこまるからな。


 俺は雇い主だ。ドンと、主らしく身構えておきたい。


「お父さーん」


 紗知の声だ。


「どうしたぁーっ?」


「ものすごいのが、来たよぉー」



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