愛しの殺人鬼
第1章 ひまわり畑
「ん、んん、」
「声出さないと苦しいよ」
「あっ!」
突然ふう、と耳に息を吹きかけられ、気の緩みで思わず声が出てしまった。
慌てて手で口を押さえるけれど、時すでに遅く。男はしっかりとその声を聞いたらしい。
「可愛い声」
熱のある声でそんな言葉を紡がれて、ぼっ!と私の顔が真っ赤になったのがわかった。燃えるように熱い。湯気が出てるんじゃないかってくらい。
「だ…って、そんなところ触られたこと…ッ」
「ええ?」
彼が驚いた声を出す。それでも手は止めずに探るように動かしたかと思うと、蜜が溢れ出すそこにズブリと指をいれた。
「ッ!?」
「じゃあ、ここ触るの俺が初めてなんだ」
嘘、嘘…!!?
「アッう、ごかさないで…ッ抜いて…ぁあっ」
そう訴えかけても、男はちう、と首筋に吸い付きながら、悠々と指を動かし始める。ヌチュ、と水音が卑猥な匂いと一緒に周りを囲って、恥ずかしさで死んでしまいそうだ。
「抜いてって…君が締め付けて離さないから無理だよ」
ーーー完全に、楽しんでいる。
キッとある限りの力で男を睨むけれど、男はふ。と笑って私の唇を塞ぎ、
「さあ、ナイフとセックス、どっちが痛いんだろうね」
悪魔の囁きを、そっと零した。