おれのオシゴト
第4章 3作目
「雅紀、台本!」
「えっ?!台本て?」
しょーちゃんに渡された物を見て、おれは衝撃。
「本当はちゃんと台本てのがあるのよ
今まではお前のやりたいようにさせて
もらえないかって頼んでたんだけど…
今回のは役設定があるやつなんだって」
ぺらぺらめくりながら中を見てみるけど…
おれ、活字読むのあんますきじゃないんだよね。
「しょーちゃん、急に眠気が…」
「だろーな、お前活字読めないだろ?(笑)」
「しょーちゃん、おれのことわかってるね」
あー、セリフとか覚えなきゃダメなのかな?
「しょーちゃん、無理だわ
おれには覚えられない…」
うるうるの目でしょーちゃんを見つめる。
「はぁ、わかった
おれが何とかなるように上手く進めてやるから
とりあえずこの冒頭とこのセリフだけ覚えろ」
出来るな?って頭ぽんぽんしてくれる、
優しいしょーちゃん。
『うりせんぼーい、雅紀』
「雅紀さん、ご指名です」
「誰、常連さん?」
「いえ、今日は新規のお客さんで…
お泊まりコースでのご予約です」
「まじかー、人見知りなのにつらい」
「雅紀さんほど説得力のない人見知り
いませんからね?(笑)」
いってらっしゃい、と送り出されて
お客さんご指定のホテルに向かう。
トントンー。
ドアをノックしてすぐ中からひとが出てきた。
えっ?!すごいいけめん!!
「どーしたの?入って」
「はい…あっ、ご指名いただきました
雅紀です、よろしくお願いします」
お客さんめっちゃおれのこと見てる。
まさか、お気に召してない感じ?
写真と違いませんかー?的なあれ?!
「あの、おれじゃ無理ですか?」
お客さんいけめんだからチェンジされたく
ないなー、ってちょっと必死になっちゃった。
「いや、全然。実物はすごくかわいーな
って思ったらつい…」
「よかったー」
「えっ?」
あっ、心の声!漏れちゃった。
「あっ、えっと…
お客さんかっこいーからおれ、他の子に
変えられたくないな、って思って…」
ほっとして、はにかむおれを見つめる
お客さんはすごく優しい顔してた。
ちょっと座って話そっか、っておれの
手を引いてソファに座る。