テキストサイズ

if

第3章 疑いーENA sideー

「クロじゃん」
「…かなぁ… とりあえず、今晩帰って居たら聞いてみる」
「強気にいかなきゃダメだよ」


…芹菜怖いよ…


重い気持ちのまま玄関のドアを開ける。
玄関には雄一の靴がなかった。
いつもは寂しくなるのに、今日はほっとしている自分がいた。


良かった、帰ってきてない。


自分の家に帰るのに変な緊張感を覚えていた私は、気が抜けたのか急激に眠くなってしまった。


早くお風呂入って寝よ…


お風呂から上がりリビングに入ると、つけた覚えのないTVがついていた。


「あ、おかえり。 絵那帰ってたんだね。 なんかめっちゃ久しぶりな感じすんね」
「あっ、雄一、帰ってたんだ。 久しぶりだね。 あっ、ごはん食べる???」
「ごめん、食べてきた」


びっくりしたー…
眠気吹っ飛んじゃったよ…
…聞かないと…、ダメだよね…


「雄一、先週…」
「いやー、参ったよー、急に北海道のロケに呼び出されてさー、」
「そうなんだ。 大変だったね」


私が話し始めると同時ぐらいに、雄一の方から話し始めた。


「ごめんな、連絡入れようかと思ったんだけどさ。 んでまた今から今度は沖縄だって。 荷物取りにきたの」
「そうなんだ。 大変だね…」
「ごめんな、一緒に住んでても、全然2人になれる時間がないね」


浮気じゃ無かった…、良かったーーー


「ううん、忙しい方が私は嬉しいよ。 雄一の事、もっと色んな人に知ってもらいたいもん」
「絵那、ほんと理解あるな。 絵那に出会えて幸せだわ、俺」


そう言いながら、そっと抱きしめられる。
雄一の、大きくて優しい手が私の頭を包み込む。
そしてどちらからともなく唇を重ねる。
唇を合わせるだけの優しいキスが、次第に深くなっていく。
雄一の熱っぽい舌を受け入れ、自分の舌と絡ませる。


「ん…っ…」


次第に荒くなる息遣い。


「ベッド、行こ…???」
「仕事…、いいの…???」
「まだ、時間あるから」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ