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第5章 確信ーENA sideー

ドラマの撮影も中盤に差し掛かり、スタッフは夜通し作業という事も度々になっていた。


私はスタッフが使える仮眠室に度々お世話になり、そこで朝を迎えるという事もしょっちゅうになってきた。


「ありえない。 どんなに遅くなって家に帰れなくても私は会社で寝る」
「もうそれすらも面倒なんだって」
「いや、絵那。 あんた一応女なんだし彼氏いるんだし、男のスタッフが使う仮眠室は使わない方がいいって」


一応ってなんだ、一応って。


「大丈夫大丈夫、私女と思われてないから」
「いや、前言ったでしょ。 あんたの事狙ってる同業者結構いるって」
「私職場で男の人からちやほやされた事ないよ。 あ、今日ちょっと別の仕事入ってるから、ドラマの方お願いね」


今日は珍しく女性ファッション誌の仕事。


「OKー。 今日絵那ご指名の仕事なんでしょー???」
「そう。 しかも女性誌。 びっくりしちゃったー」
「しかもご指名頂いたのがトップモデルの笹埜仁菜(ささのにな)!!」


指名でお仕事を頂けるのはスタイリストとして一番嬉しい事である。
しかも今回はドラマや映画でも活躍しているトップモデルの笹埜仁菜さん。
なんで普段男性誌の仕事ばっかりの私に指名なんてくれたんだろう…


「失礼します。 本日スタイリストを担当させて頂きます、丸山絵那です、よろしくお願いします」
「はじめまして、笹埜仁菜です」
「今回は、ご依頼頂いてありがとうございます。 光栄です」


わー、綺麗な人だー…
思わず見とれてしまう。


「私割と男性誌好きで、よく絵那さんのスタイリング見てて、1度お仕事ご一緒したいと思ってたんです」
「そうなんですか!! 嬉しいです」


話しながら今日着てもらう洋服をラックに掛けていく。


「あっ、私絵那さんにお伝えしてなかったかもしれないんですけど、実は今妊娠してて…」
「えー!! そうなんですか!? おめでとうございます!!」
「あ、でもまだ近い関係者しか知らなくて。 近々発表予定なんですけど」


衣装のオーダーの時にワンピースとかが多かったのはそういう事だったんだ。


「無理のないようにして下さいね。 全力でサポートしますから」
「ありがとうございます…」


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