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第5章 確信ーENA sideー

撮影は、時々休憩を取りながらも予定通りの時間に終了した。


撮影の合間に色々な話をした。
相手の方は仁菜さんの一目惚れで、じつはそんなに交際期間が長くない事、突然の妊娠で驚いたけど彼の子供を産める事が本当に嬉しい事、悪阻が結構きつい事。


撮影スタッフには妊娠している事は伝えておらず、しかし仁菜さんはその事を微塵も感じさせなかった。


さすがプローーー
悪阻きついって言ってたのに全く感じさせない。
すごい人だな…


撮影終了後、控え室に衣装を引き取りに行く。


「失礼します、衣装引き取りにきました」
「はい、ありがとうございます」
「今日はお疲れさまでした。 ご気分どうですか」


仁菜さんは少し疲れた表情をしていて、顔色もあまり良くないような気がした。


「大丈夫です、ありがとうございます…」
「良かった。 お身体暖かくして、元気なお子さん産んで下さいね」
「ありがとう…ございます… あの…!!」


控え室を出ようとしていた私を仁菜さんが引き止める。


「どうかしましたか???」
「あの…、本当に良くして頂いて…、ありがとうございます…、本当にごめんなさい…」
「いえいえ、私は、何も…」


目を潤ませ、涙を落とす仁菜さん。


「えっ、えっ、どうして… 体調、悪くなってきましたか???」
「ううん、こんなに素敵な人に、私…」


泣き崩れる仁菜さんに、どうして良いのか分からない。
少しでも落ち着くようにブランケットを背中に掛け、さすってあげる。
かなり疲れたのかな、妊娠中って情緒も不安定になるって聞くし…
おろおろしていると、出られていたマネージャーさんが戻って来られ、仁菜さんを引き渡し楽屋を後にした。


大丈夫かな、仁菜さんーーー

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