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第5章 確信ーENA sideー

芹菜に促され、一旦会社に戻り、それから自宅に戻った。

自宅の鍵を開け、中に入ってすぐに異変に気付く。

何これ……………


歯抜けになった家具、家電…。
開きっぱなしになっていたクローゼットは、約半分のスペースががら空きになっている。


私が数日家を空けている間に、自分の家財道具を全て運び出したようだ。


やっぱり…あの記事は本当だったんだ…


誤魔化しようのない事実を突き付けられ、膝から崩れ落ちる。


ブー ブー ブー ブー


どのぐらいの時間が経っていたのだろう。

携帯の着信音で我に返った。


「もしもし…」
「もしもし絵那??? 大丈夫??? 寝てた???」
「んー、ぼーっとしてた、へへ」


何時間ぐらい放心状態でいたんだろうーーー


「え??? 寝てたんじゃないの??? 大丈夫???」
「へへ…うん、芹菜~、やっぱ本当だった~… 雄一、居なくなっちゃった」
「え!?」


外はもうすっかり暗くなっていた。


「捨てられちゃった~、へへ…」
「何!? 絵那どうした!? 今家???」


「何これ………」


1時間も経たない内に家に飛んで来た芹菜は言葉が出ない様子だった。


「ふふっ…、雄一、出てっちゃった」
「ちょっと……、酷すぎるよ…、5年も付き合ったのに、こんな…」
「私…、ちゃんと雄一の事好きだったのにな。 仕事忙しくても、気持ちだけはちゃんと繋がってるって思ってた」


芹菜が優しく背中をさすってくれるから、涙がぼろぼろ溢れてくる。


「絵那はちゃんとしてたよ、絵那は何も悪くない」
「どうしたらいいんだろう……」
「……絵那、切り替えよ。 そんなすぐには無理かも知れないけど、もうスッパリ切った方がいいと思う」

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