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LOSE and ABTAIN

第3章 Hide the trueth



星太に連れられ、病室に戻った紅葉はベッドに座らされた。

「ごめんな、俺が守ってやんなかったばっかりに、こんな事になっちまって」

星太がそう言っても反応をしない紅葉。

反応ができない、そう言った方が正しいのかもしれないが。

「俺の手に、文字を書いて伝えて?それでコミュニケーションが取れる」

そういって紅葉の手に自分の手を重ねた。その数秒後、紅葉がゆっくり手を動かすと人差し指で星太の掌に指を当てた。

“なにがあったの”そうとしか書かなかったが、星太にはそれがどんな意味を成しているかが解った。

「知らなくても・・・まだいいんじゃないかな?ダメ?」

星太は紅葉の身に何があったか知っているが、それが辛い過去なら教えなくてもいいんじゃないか、そう思っている。

紅葉は少し俯くと・・・“しらないほうがいいの?”そう星太の掌に書いた。

星太には紅葉の途方もない空虚感は分からないが、紅葉の身に何があったのか教えたくなかった。

不器用な星太でも、それなりの考えがあってそうしているのである。

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