テキストサイズ

LOSE and ABTAIN

第3章 Hide the trueth

紅葉が目覚めて星太が手を取ったとき、体を震わせていたのが星太には解った。

(あぁ、駄目だ)

星太はそう思った。自分にも恐怖を感じているんだな、と。

根拠のない自信は、呆気なく終わった。

『どうすればいいんだ。あぁ、もう駄目なのか。支えてやるのは俺しかいないはずなのに、俺にも手を差し伸べる権利はない。しかも俺の手に恐怖を感じているのか・・・』

そうして自信喪失した星太は、出来る限り最小限のスキンシップに留めていた。

なのに手を握らないとコミュニケーションが取れないなんてもっと頭を使えよ!なんて心の中で自分自身に悪態をつく。

紅葉の気持ちに、背くことになるのは解っているが、真実はまだ、伝えないでも良いんじゃないかと思った。

だから、紅葉には伝えなかった。

”知らないほうがいいの?”と聞かれて頷くことはできない。

それを決めるのは紅葉だから。それでも、

"しょうたがおしえてくれる気になったら、おしえて?"

そう手に書いた紅葉に甘え、星太は

『真実はいつ伝えるかを見極めて教えてあげよう、紅葉が一番傷つかないタイミングで・・・』

そう思って心に決意をし、つぶやき声で「ありがとう」といった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ