
LOSE and ABTAIN
第1章 Lost things
「日向さん、何があったか、ご自分で覚えていらっしゃいますか」
低めの男の人の声。その声にもまた体を震わせる。
『日向さん』、そう言われたから、自分に聞かれていることは確かなのだが、声の出ない紅葉は首を傾げた。
「・・・日向紅葉さん。私は精神科医の唯井瑛太(ただいえいた)です。あなたは、精神的に大きなショックを受け、今記憶がありません。あなたが、あなた自身の事をどこまで覚えているか今から調べたいと思います。いいですね?」
紅葉が頷くと、唯井は質問を開始した。
低めの男の人の声。その声にもまた体を震わせる。
『日向さん』、そう言われたから、自分に聞かれていることは確かなのだが、声の出ない紅葉は首を傾げた。
「・・・日向紅葉さん。私は精神科医の唯井瑛太(ただいえいた)です。あなたは、精神的に大きなショックを受け、今記憶がありません。あなたが、あなた自身の事をどこまで覚えているか今から調べたいと思います。いいですね?」
紅葉が頷くと、唯井は質問を開始した。
