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LOSE and ABTAIN

第1章 Lost things

「紅葉、車いすに移るよ?」

星太は無反応の紅葉の手を握り、立ちやすいように手に力を込めた。その手に、紅葉は体を震わせて一瞬恐れたが、それも本当に一瞬で紅葉はすんなりと車いすに移った。

移ったと同時に紅葉の部屋に看護士の女性が入ってきた。

「失礼します、日向さん、ちょっといいですか・・・あっ、彼氏さんですか、日向さん、先生がお呼びですので、診察室にお入り下さい」

看護士は手元の書類を確認しつつ機械的にそう告げた。

星太が車いすを押していく。

紅葉は静かにしているほか選択肢はなかった。

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