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君の隣

第3章 衝撃ーNONA sideー

「デートに誘われた~~!?」
「ちょっ、杏声でかいから!!」
「だって、すごい急展開じゃん!! やったね、乃南~~!!」


講義前で教室がざわついていたからあまり目立ちはしなかったけど、杏の時々出るリアクションの大きさにはこっちがひやひやする。


斜め後方で机に突っ伏していた及川くんが肩をびくっとさせているのが視界に入る。
思わず目が合ってしまったので、親友の大きすぎるリアクションを詫びる仕草で会釈すると、さすがアイドルと言わんばかりの営業スマイルで、いいえという口の動きと手振りが返ってきた。


あ、及川くんが笑ったとこって初めて見たかも…
でもまぁ、芸能人だから当たり障りない対応をしただけなのかも…。
寝てたのにうるせーなーとは思われたかも。


「ちょっと乃南~~、今ちょっと及川くんと話したでしょ~~、羨ましい~~」
「杏がうるさいから謝ってたんでしょー」


ちらっと斜め後ろに目をやると、再び机に突っ伏している及川くんがいた。
及川くん仕事忙しいのかも知れないけど…、ちゃんと授業聞かないと進級できないんじゃ…
まぁ、私には関係ない事だけど…


今日の講義は及川くんでなくても眠くなるような授業だったが、ものすごく近くに及川くんがいるってのでテンションの高い杏が横で小声でずっと話してて夢の中に落ちる事はなかった。


斜め後ろの彼はというと、90分の講義の間一度も頭を上げる事なく突っ伏していた。
何のために大学に来てるんだろ…

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